筋肥大を目指す人にとって、頻度とは週当たり主要筋群がトレーニングされる回数と定義されるでしょう。また、BIG3を伸ばしたい人には週当たりの各動作パターンのトレーニングと言えるでしょう。
<”頻度” と ”頻度によって増えたボリューム”>
筋トレにおける、頻度という変数を理解するうえで重要なことは、”頻度それ自体”による影響と、頻度を増加に伴い増えた”ボリュームの影響”を区別することです。
前者の影響は同じボリュームのトレーニングで高頻度と低頻度を比較することで、明らかになります。例えば、1回のセッションで10セットのベンチプレスを行う場合と5セットを2日に分ける場合を比較します。この”頻度”そのものの影響は、具体的に言うと、より質の高い動作を練習できることがあります。
例えば、スクワットを8レップス6セットを1セッションで行う場合と、3セットを2セッションに分けた方場合をイメージしてください。6セットを一度に行うと後半のセットでは挙げるだけで、精一杯になり、細かいフォームの意識等を持ちづらいですよね。また、使用重量も後半でかなり低下しそうです。使用重量の低下はそのまま筋力上昇の鈍化につながるので(Helms2018)、これは避けたいです。
後者の頻度を増加に伴い増えた”ボリュームの影響”の例は、週1回5セットのトレーニングをしていた人が、週2回5セットずつに変えれば、頻度とともに、合計のボリュームが2倍になっています。
この二つの影響を比べると、”頻度”そのものより、”頻度によって増えたボリューム”の影響が非常に大きいとされています。(Ralston et al.2018, Grgic et al. 2018, Shoenfeld et al. 2018)
筋肥大・筋力とボリュームに容量反応関係があることからもこれは納得できますね。(ボリュームと筋肥大・筋力はこちら)
以上の理由から、頻度はトレーニング経験を積んで、必要やボリュームが多くなった場合、もしくは極限までトレーニング効果を高めたい人が、トレーニングボリュームを増やすための手段として、用いることが合理的であると言えるでしょう。
一方、少しのセット数でも充分な刺激になる、初心者はわざわざジムに行く頻度を増やす必要はないでしょう。
・トレーニング経験を積んでから、総ボリュームを増やす手段として頻度は非常に有効な手段
・同じボリュームなら頻度そのものによる影響は小さい
<頻度による筋肥大への影響>
頻度そのものの影響は、特に純粋な筋肥大を目的とした場合は、非常に小さいかもしれません。最新のメタ分析で、同じトレーニングボリュームの場合は1-3回の頻度では、筋肥大に有意差がないことが明らかになっています(Shoenfeld et al. 2018)。そのため、純粋な筋肥大を目的とする場合は十分なトレーニングボリュームが確保できるならば、自身の好みで、週当たりの頻度を決めるとよいでしょう。Bro splitと揶揄されることのある、ボディビルダー的な部位別トレーニングも純粋な筋肥大を目指すなら、問題なさそうです。
<頻度による筋力への影響>
頻度が筋力向上に与える影響は筋肥大に比べると大きいようです。特に、ベンチプレスなどの上半身のエクササイズはボリュームが同じでも、高頻度のプログラムが有効なようです(Ralston et al.2018, Grgic et al. 2018)。筋力は筋断面積、運動単位の動員・頻度、テクニックの改善など複数の要因に影響されます(Haff 2016)。そのなかでも、動作テクニックは恐らく、先ほども述べた、複数のセッションにボリュームを分けることで、より質の高い動作の練習ができることで低頻度より改善するでしょう。また、より高強度のトレーニングを週を通して実施できることも長期的な筋力向上に貢献すると考えられます。 パワーリフターを対象とした研究では同じボリュームでも、週6回群が週3回よりも、ベンチ。スクワットでより記録が向上したとされています(Raastad 2012)。そのため、熟練度が上がるにつれて、より高頻度の練習がBIG3向上には必要かもしれません。
・総ボリュームを増やす手段として頻度は非常に有効な手段
・そのため、トレーニング経験を積み、必要なボリュームが増えた場合には、各部位週2回以上がよさそう。
・ただし、同じボリュームなら頻度そのものによる影響は小さい(特に筋肥大を目的とする場合)という報告もある。そのため、1回のセッションで大量のセットをこなすのに、問題が無い場合は、Split Routineでもよさそう。
・筋力向上も目指すなら、質の高い動作の練習ができるため、週2回以上各動作を行った方が良い(特にベンチプレス)
・自身にあった頻度を見つけるために、1回のセッションからの回復に時間がかかる場合は低頻度(1-2回)、逆に回復の早い人は高頻度(3-4回)がおすすめ
参考文献
・Helms E. R., Byrnes R. K., Cooke D. M., Haischer M. H., Carzoli J. P., Johnson T. K., Cross M. R., Cronin J. B., Storey A. G. Zourdos M. C. RPE vs. Percentage 1RM Loading in Periodized Programs Matched for Sets and Repetitions. Frontiers in Physiology, 9. 2018.
・Schoenfeld BJ, Grgic J, Krieger J. How many times per week should a muscle be trained to maximize muscle hypertrophy? A systematic review and meta-analysis of studies examining the effects of resistance training frequency. J Sports Sci. 2019; 37: 1286–1295.
. Grgic, J., et al., Effect of resistance training frequency on gains in muscular
strength: a systematic review and meta-analysis. Sports Med, 2018. 48: 1207–20.
・Ralston, G.W., et al., Weekly Training Frequency Effects on Strength Gain: A Meta-Analysis. Sports Medicine-Open, 2018. 4: 36.
・G. Gregory Haff, N. Travis Triplett. Essentials of Strength Training and Conditioning 4th edition. Champaign, IL: Human Kinetics,
・Raastad T, Kirketeig, A, Wolf, D, Paulsen G. Powerlifters improved strength and muscular adaptations to a greater extent when equal total training volume was divided into 6 compared to 3 training sessions per week (abstract). Book of abstracts, 17th annual conference of the ECSS, Brugge 4-7 July, 2012.
