前回の投稿でボリュームが大切なのは理解したと思います。 「でも何レップくらいやればいいの?あげられるかギリギリの高重量がいいの?」そんな疑問がわいてくると思います。
今回は、そんな疑問を解決するために、筋肥大に最適な「負荷」について、最新の研究に基づいてわかりやすく解説します。
1. 筋トレ負荷のとは?
筋トレの負荷は一般的に1回挙げられる最大である1RM (One repetition maximum)に対する相対的な値で表されます。そしてこれにより「レップ数(反復回数)」の目安も決まります。
高負荷:1〜5回(約85〜100% 1RM)
中負荷:6〜12回(約65〜85% 1RM)
低負荷:13回以上(約65%未満)
例)1RMが100キロの人はの80%1RMは80キロで、ギリギリ約10回上がります。
それぞれの負荷には異なる特性があり、どれが筋肥大に最適かについては長年議論されてきました。
2. 幅広いレップ数でも筋肥大は起きる!!
6〜12回の中程度のレップ数は、メカニカルテンションとメタボリックストレスという筋肥大の2大メカニズムのバランスが取れているため、筋肥大に最適と長らく考えられてきました。
しかし、この概念は現在見直されています。最新の研究によると、、、
レップ数による筋肥大の影響は少ないようです!
たとえば、2017年のメタ分析(Shoenfeld et al., 2017)では、60%以上(約20レップ以上)と60%未満のトレーニングを比較しても、限界まで行えば筋肥大に有意差は見られませんでした。
また、20、40、60、80%を比較した研究(Lasevicius et al., 2018)では、40、60、80%の間に有意差は見られず、20%がそれ以外の負荷より筋肥大が劣る という結果が示されました。この研究では40%は30レップ前後で80%は約10~14レップとかなり広い反復回数の幅で筋肥大効果が見られました。ただし、あまりに軽すぎる20%(約60レップ)のは効果が劣り、最適な負荷には下限が存在するようです。
これらの、研究では限界近くまで追い込んでいることと、前回の記事で解説したセット数と筋肥大の強い関係を考えると、、、
!!重くても軽くても筋肉は成長する!限界近くまで追い込むセットを成長するのに充分なセット数行うことが基本!!
3. 重すぎ・軽すぎのデメリット❕
ただし、両端の負荷でも同様の筋肥大は得られるが、それぞれにデメリットがあります
●重すぎる
たとえば、「3セット×10回」と「7セット×3回」は筋肥大の効果自体に有意差は無いという研究があります(Schoenfeld et al., 2014)。しかし、後者はセット数が多いため、トレーニング時間が大幅に増加し、実際に研究では途中離脱者も多かったと報告されています。
高重量ではセットあたりのレップ数が少ないため、同等のボリューム(=負荷×反復回数×セット数)を得るには多くのセットが必要です。その結果、
△時間効率が悪くなる
△ケガのリスクが高まる
△中枢神経の疲労も蓄積しやすい
といった問題が生じやすくなります。
●軽すぎる
一方で、30レップ前後までの非常に軽い負荷でも限界近くまで追い込めば筋肥大は可能ですが、
△心肺系への過度な負担
△高い不快感
といった問題があります。
例えば、Shoenfeld et al., 2015では25~35回3セットと8~12回3セットを比較し、筋肥大は有意差がありませんでした。 しかし、そんな高回数のエクササイズ(この研究ではスクワットやベンチプレスなどをしています)は呼吸が苦しすぎて、継続が難しいことは容易に想像できます。
また、高回数のレッグエクステンションなどを想像してもらえばわかると思いますが、足に感じる不快感が高いエクササイズも追い込むのが難しいです。実際に、高回数のエクササイズでは自分の限界を過小評価するようです(Halperin et al)。
心肺機能や不快感で追い込み切れないのは筋肥大の刺激として不十分になり、トレーニングにとって非常に大切な継続性という面でも問題になります
4.まとめ:筋肥大には「中負荷」が基本。でも使い分けがカギ!
ここまで見てきた通り、筋肥大は高負荷でも低負荷でも起こります。しかし、現実的な継続性や効率性を考えると、やはり中程度の負荷(6〜12回できる重さ)が基本となります。
とはいえ、目的や部位、体調に応じて、軽い負荷や重い負荷もうまく使い分けることで、より効率の良い筋肥大プログラムをつくることができます。
以下に、それぞれの負荷の使い分けをまとめたので、参考にしてみてください!
中負荷(6〜12回)
✔ 筋肥大を狙う上での“主食”とも言える基本負荷
✔ スクワット、ベンチプレス、ローイングなどの多関節種目に最適
✔時間効率が良く長期的にも継続しやすい
低負荷(12〜20回以上)
✔ 単関節種目(例:レッグエクステンション、ラテラルレイズ)やマシンを使った種目で効果的
✔ 関節に不安があるときにも活用可能
高負荷(3〜6回)
✔ 多関節種で筋力向上(1RM強化)を目的とする場合に有効
✔ 高重量を扱うことで、のちの中負荷トレーニングのボリューム向上にもつながるので、 プログラムの一部に戦略的に組み込むと、筋肥大にも好影響
ちなみに、1回ギリギリの重さは、時間がかかることや怪我のリスクなどから筋肥大には非効率なため、パワーリフター以外では日常のメニューに取り入れなくてよいでしょう。ただし、RIRに慣れていない人が%1RM法を用いて負荷を決めたりする場合で用いるのは良いと思います。それでも、正確な測定や定期的な図り直しが必要にはなると思います。
【参考文献】
・Halperin, I., Malleron, T., Har-Nir, I., Androulakis-Korakakis, P., Wolf, M., Fisher, J., & Steele, J. (2022). Accuracy in predicting repetitions to task failure in resistance exercise: A scoping review and exploratory meta-analysis. Sports Medicine, 52(2), 377–390.
・Lasevicius, T., Ugrinowitsch, C., Schoenfeld, B. J., Roschel, H., Tavares, L. D., de Souza, E. O., Laurentino, G., & Tricoli, V. (2018). Effects of different intensities of resistance training with equated volume load on muscle strength and hypertrophy. European Journal of Sport Science, 18(6), 772–780.
・Schoenfeld, B. J., Grgic, J., Ogborn, D., & Krieger, J. W. (2017). Strength and hypertrophy adaptations between low- vs. high-load resistance training: A systematic review and meta-analysis. Journal of Strength and Conditioning Research, 31(12), 3508–3523.
・Schoenfeld, B. J., Peterson, M. D., Ogborn, D., Contreras, B., & Sonmez, G. T. (2015). Effects of low- vs. high-load resistance training on muscle strength and hypertrophy in well-trained men. Journal of Strength and Conditioning Research, 29(10), 2954–2963
